お葬式は、お亡くなりになられましたお方様をお送り致す儀式です。
一括りにてお葬式と申しておりますが、ご不幸が起きましたお宅へ連絡を頂きましたら直ぐにお邪魔致し読むお経、枕経(この時に通夜、葬儀の打ち合わせ、ご戒名の相談を致します)をお勤め致します。
そして、故人をお送りいたします戒名が故人にふさわしくお付けできます様、故人の人となりを詳しくお聞きいたします。
そして、戒名を位牌に書き、お通夜にてお勤め致し、翌日に葬儀式です。
この葬儀式も、前半に住職が故人をあの世へ導く引導をお渡し致すのが葬儀式です。
その後、親族や一般会葬の皆さんが故人へのお別れの焼香をなさいます告別式となります。
霊源院の住職を拝命致してからは、一人でお葬式をさせて頂く機会が増えました。
まだ弟子だった頃は、師匠から色々な勉強をさせていただきました。
私は在家(寺ではなく普通の家の子供)出身ですが、有難いことに大学時代に霊源院のご住職とご縁を頂きました。
当時の住職の弟子にさせて頂いた後は、東福寺の修行道場で修行をさせて頂きました。
その後、寺に戻り師匠に僧侶としての様々な教えを頂き今日に至っています。
お寺での生活は、朝のお勤めから始まり、そのあとは掃除をいたします。
そして、お檀家さんのお家のお仏前に月忌参り(いわゆる月参り)にお邪魔いたしておりました。
そこでは、お檀家さんのお話をお聞きし、様々な勉強をさせていただきました。
日曜日は、本堂での年回法要がございました。
そして稀にお檀家さんにてご不幸がありますと、お葬式のご連絡をいただきます。
僧侶になりたての頃は師匠についてお葬式にお邪魔致しました。
若輩の何も出来ぬこの私に何処のお檀家さんもご丁寧に対応頂き、却って恐縮致しましたことを今もよく覚えています。
ぴりぴりとした緊張の中で故人をお送り致すお手伝いなのだと実感致しました。
亡くなりになられてからは、1週間ごとに7回お勤めを致します。
毎週、お家へお邪魔してお勤めを致し、故人の残されましたご家族と寂しさ、辛さを僅かですが共有させていただきます。
7回目に忌明けの法要として四十九日のお勤めを致します。
その間、故人が良きところへ転生なさいます様、ご家族と共に祈念致します。
少し前まではこのように近しく、檀信徒の皆さんと一緒に、故人の安らかなご冥福をお祈りさせていただいておりました。
時代の流れとともに、お別れの大事な儀式としての葬儀式が随分と省略されるようになりました。
少子高齢化社会を迎えて、一つの家族が双方のご両親の介護をするなど、時代とともに様変わり致しました。
もちろん、お寺の説得の足りないことも一因かとは思います。
時代は変わりましても、故人との最後のお別れを葬儀として行う重要さは少しも変わっておりません。
また、葬儀の後の法要も故人が良きところに転生をしていただくための大切な期間です。
最近では、四十九日での真ん中の法要は端折られる場合が多くなりました。
当院では故人の家族に成り代わりまして、朝のお勤め時に二七日、三七日、四七日、五七日、六七日のお勤めさせて頂いております。
葬儀に掛かる費用の節約の為に飾りを質素にすることも全く問題ありません。
ただし、菩提寺の和尚のお勤めの下、故人を偲び、共に思うという時間の葬儀は端折って良いものではありません。
当院では、現在のありようを反省致し、これからも故人のご家族と共に、大事な故人(もちろん水子さんも含めて)お送り致す葬儀や法事に取り組みたいと考えております。
ここ数年で、葬儀式や法事などのあり様は、ずいぶんと変わってまいりました。
様々な事情で、葬儀を行わずに火葬に付される方々が増えてきていることをお聞きいたします。
もちろん、故人を前に葬儀式が良いとは思いますが、状況によりそれが叶わず火葬なされることもあろうかとは思います。
しかし、そのこととお別れの儀式をなさらないのは別と思います。
古くから各地で行われています、お骨葬(おこつそう)という葬儀式をご存じでしょうか。
故人のお骨を前に引導を渡し、故人とのお別れのお焼香を行って頂くのがお骨葬です。
これは紛れもなく故人との大事なお別れの儀式「お葬式」です。
時間が経っても、ご家族だけでも、お一人でお越しの方でも、お骨葬は行っていただけます。
本堂の仏具を使用しますので、祭壇の設営費用は不要です。
最近では、永代供養墓のご見学にお越しの方からお骨葬の質問をいただくことが増えてまいりました。
お骨葬は、当院のお檀家さん、永代供養墓の皆さんでなくてもどなた様にも対応させていただきます。
心の中で火葬のみで良かったのか疑義をもたれてらっしゃる方、やはりきちんとした葬儀をなさりたかった方々など、是非ご相談ください。
過日、お骨葬のご縁を頂きましたが、当院の本堂でご家族と共にお勤めをさせていただきました。
「安心致した」との声を頂戴いたしました。
お骨葬のこと以外にも、自身の戒名についてのご質問など、水子供養にお越しの皆さんも含めて、終活をお考えの方など、是非ご相談頂けましたら嬉しく存じます。
合掌