本堂庭園「翠陰苑(すいいんえん)」の蝋梅と、お地蔵様を祀る蓮華堂の前の庭の蝋梅が共に満開となりました。
とは言え、蝋梅の花は小さく、質素な趣ですので、満開という言葉は適切ではないかもしれません。
さて、本堂前の庭園は翠陰苑と名付けましたが、それは、花木が多く、生い茂ると緑が映え、いたる所に花が咲き、しかも緑が涼やかな日陰を造るという意味を込めて名を付けました。
それからしますと、蝋梅の花は小さく目立ちませんが、緑と花の少ないこの時期にはとても有難い樹木なのです。
クスノキ科に属する落葉樹で中国が原産だそうです。
如何にも漢詩文学が進んでいた中国らしく、漢詩に直ぐに読み込めそうな華凜な花です。
しかもびっくり致しましたのは梅(うめ)の名なのに香りの強さなど梅に限りなく近いのにバラ目バラ科に属して系統的には梅には遠いとのことです。
蝋梅の名の由来は半透明で鈍い艶のある花が蝋細工のようにみえるからのようです。
花と同時に実も付けています。
蝋梅は意外に簡単に育つようです。
興味のある方は実をお持ち帰り頂き、庭に植えて見て下さい。
お墓参りの帰りには是非、鑑賞下さい。
写真:民家の庭に咲く蝋梅
過日、御案内申し上げましたように本堂、蓮華堂の白壁を塗り直しています。
お線香の煙はどうしても壁を茶色く致すようです。
別な見方を致しますと、それ程に多くの皆さんが蓮華堂、本堂へお参り下さってらっしゃるということなので嬉しいことなのですが。
しかし、やはり白壁は白色が良いということで塗り替えを思い切って致しております。
蓮華堂はともかくに、本堂にての水子供養のお勤めが横の狭い部屋にて致しておりますので随分とお越しの皆さんにはご迷惑をお掛け致しております。
来週中には全ての塗り替えが終わりますので、今しばらく、御辛抱下さい。
春來草自生(はるきたらばくさおのずからしょうず)
春の先駆けの蝋梅が咲き、もうすぐ春が来ます。
春になると草木は自然に生えてきます。
そこに、理屈はありません。
しかるべき時期が来れば自然に花は咲き誇り、樹木は青々と輝き、草も負じと元気に生えてきます。
人間の心の持ちようも、この自然界の植物の有り様を学ばねばならぬのかもしれません。
なにかを致そうとしたとき、事を急くのではなく、為すべきことを地道に続けていましたらば自然と成果(花)が咲き誇るのではないでしょうか。
焦らずに心に余裕を持ち、自分のペースで真剣に取り組み続ければ花が咲くのと同様に自然と上手くいくのでは。
日差しも少しずつ明るい春の兆しとなってきました。
もう少し時間はかかりますが、焦らずに春を待ちたいと思います。合掌
大本山東福寺塔頭 霊源院