故人を最後にお送りいたします葬儀式、その有り様が近年は激変致し、お送り致す側の意識も又、激変致してきていることはこれまでブログにて何度もお話致して参りました。
最近では、その有り様は変わり続けていますが、その大事さと重要性は変わりません。
過日、当院の檀家さんや永代供養墓で御縁の方々ではありませんが、新たに御縁を頂いた方より通夜や葬儀のご依頼を頂戴致しました。
故人とは、もちろん初めてお目に掛かるのですが有難くお受け致しました。
式場へ御邪魔致しますと、きちんとした祭壇、お花、遺影と用意がなされておりました。
着座致しますとほっと致す飾りつけです。
故人をお送り致す用意が万全に整えられている印象です。
只、ご家族以外に人がおられませんので、親族のお方様方はと尋ねますと、おられぬとのこと。
自分たち家族だけでお送り致すとの返答でした。
そうです、葬儀式はお参りの方が少なかろうと多かろうと、又、一人もおられずとも故人をお送り致すのが本義です。
皆さん少し誤解をされている方もおられますが故人をお送り致す所謂お葬式。
これは、故人へ引導を渡し無事にあの世へ送り出す葬儀式と故人へ御縁のある方々が最後のお別れをなさる告別式の二部構成なのです。
ですから、お参りの方々がお越し下さる告別式は誰も居られなければしなければ良いのですが、故人を送り出す葬儀式は絶対に必要なのです。
譬え飾りが無くても、故人を火葬なされた後でも葬儀式は絶対に必要なのです。
ですので、過日ご縁を頂きました葬儀にて、どなたも身内のお方、会葬のお方がゼロでも当然に端折る部分なくお勤めさせて頂きました。
先ずはどなたも生前に間違いの行いが無い方はおられませんので、それに対して①懺悔(さんげ)のお経を唱えます。
②仏教の教えに帰依致すとの覚悟のお経を唱えます。
③戒名をお授け致します。
④更に納棺(故人を棺へ納める)お経。
⑤御棺の蓋を閉めるお経。
⑥火葬場へ行く延べ送りのお経を読みます。
そして、その後、故人の棺の前で立って、故人の徳を述べ、この世への未練を絶つことを説得致し、あの世への無事な旅立ちを念じ、松明を棺へ投じ火葬の様子を表現致します。
⑦火葬のお経を読みます。
ここまでが故人をお送り致す葬儀式として致します。
更には関係者の皆さんにお焼香頂くお経を読み儀式を終わらせて頂きました。
今回はおそらく、故人の生前のご遺志が強くあられたので、身内がおられなくても葬儀式が無事に出来たのだと考えます。
これからは、少子、高齢化に伴い、子供が親の葬儀式を無事に出来ない状況がそう遠く無い時期に来ると思います。
又、お子さんのおられない方々も増えてくる可能性があると存じます。
しかし、最後の送別の儀式、葬儀は端折られてはなりません。
お骨葬を含め、御縁の皆さんが無事に葬儀式を履行できます工夫をお寺が先頭に立って致さねばならぬ時代が来ています。
葬儀に関する疑問、相談、或いは不安が御座いましたら、是非、お寺の住職に相談を掛けて見て下さい。合掌
大本山東福寺塔頭霊源院
京都市東山区本町15丁目791
電話 075-693-7345