お葬式から見た寺とご縁の方々との繋がり

2021.07.15

京都市 東福寺塔頭霊源院の住職ブログ

寺とご縁の方々とお葬式について

2021年7月15日

今回は、お葬式を通して見た、寺とご縁のある方々とのつながりについて、書かせていただきます。

檀家制度

現在の寺院の有り様ですが、仏事や布教活動以外にも、観光に力を入れている所や、習い事をされている所、地域のコミュニティーを担っている所など、寺によって様々だと思います。

ただ、その原型が出来ましたのは江戸時代ということです。

一村一ケ寺(一つの村、地域にお寺が一つ)を前提にその地域の戸籍管理所を兼ねていたようです。

必然的にその地域にお住いの皆さんは、そのお寺の檀家さんということになっていました。

当然にその地域で御不幸があった時は、そこのお寺が葬儀をなさるという流れだったのです。

これが、今も残る檀家制度の始まりで、寺の宗派をもって我が家の宗派は何々宗というようになったのです。

その地域の皆さんの葬儀、法要、法事を請け負う檀家制度は、それ程に長い歴史ではありません。

明治期の廃仏毀釈以降には、都市部を中心に薄れ掛けてきた檀家制度ですが、戦後を経て今日までその形態は残っています。

では今の時代はどうなんでしょうか

現代は寺院の法人化とともに、その形態は随分と変わって参りました。

葬儀、法事の有り様が様変わり致しつつあることは以前にもお話申し上げました。

お寺本来の有り方はお釈迦様の教えを伝え、実践いたし、それを守り伝えていくことが第一義であることは間違いありません。

ただし、核家族化が進む中では地縁が薄れてしまい、安心して相談できる菩提寺のない方が多いように聞いています。

このような環境では、祖父母や父母とつながりのあった和尚との関係も途絶えてしまい、お葬式のあり方や故人を弔う方法などは、ネットでの活字から得る方が多いようです。

お葬式のあり方について

最近では、直葬という言葉をよく耳にします。

ご遺体は、24時間を過ぎませんと火葬してただけませんので、それまでは冷蔵設備のある施設に運ばれます。

その間は、ご家族と過ごすことや、和尚が読経に行くことも許されません。

お葬式を行わずに火葬をされた故人は遺骨となりご遺族のもとに戻ります。

直葬とは、お葬式の一種と誤解をされている方も多いようです。

どなたが言い始めたのかは不明ですが、お葬式を行わずに火葬をすることを、直葬と呼んでいます。

築かれたご縁

最近に私のお寺の御縁のお方様の所に不幸があり、お葬式をさせて頂く機会がございました。

昨今では、寺院や仏教を葬式仏教と揶揄される方もおられるようですが、葬儀を終えた皆さんのお言葉、安心の様子を拝見いたしますと、互いに築いてまいりましたご縁に感謝を致します。

この度もご遺族に頼りにしていただいたことを誇りに思い、葬式仏教と揶揄されることも悪くはないという気持ちになりました。

ご葬儀とは、故人の尊厳を重んじる人生で最後の、そして最重要の「畏敬(いけい」の行事、儀式と言えると考えています。

直葬を選ばれた方は

私としては、直葬を承認している訳ではございません。

ましてや、推奨などは一切いたしておりません。

先日、NHKより取材がありました際に、ディレクターさんに教えていただきましたが、病院→冷蔵設備のある施設→斎場を希望される方々が増えつつあるのも事実のようです。

そこで、霊源院では故人の尊厳や、ご遺族の気持ちを考えた新しい取り組みとして、火葬の済まされた故人を通常の葬儀と変わらずに、ねんごろにお送り致す儀式「お骨葬」を提言、実行致して参りました。

様ざまな事情で、ご葬儀にてお送り出来なかった故人をお送りいたし、葬儀式が出来なかったことに迷いをお持ちの残された方々の心が収まります様に願います。

まだまだ、工夫を致さねばならぬ部分は多く有りますがお花の飾りつけなどを工夫致し心を込めて参列の皆さんとお送り出来るように致しております。

先に述べました、故人の尊厳を重んじる人生で最後の畏敬の儀式であるお葬式の重要性を皆さんに伝え、大事に致し守って行かねばなりません。

お骨葬に対してのご相談等はご遠慮なく、お声掛け下さい。合掌

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