今年の5月は、朝は寒いかと思えば昼には真夏日なったりと、目まぐるしく気温が変わる日が続きました。
一週間前の夜に悪寒がするなと思いながら、そのまま床につきました。
次の日は、朝のお勤めのために本堂に向かいましたが、声が枯れてしまって、いつものようにお経を読むことができませんでした。
その後は、時間が経つにつれて鼻水や頭痛を伴う風邪の症状になりました。
扁桃腺もはれて、声が殆どでない状態となりました。
しかもこの日は、大事なお通夜の日でした。
此方のお方は3年程前に霊源院のお墓を娘さんとお母さんがご見学にお越しくださったお宅です。
お墓を気に入って下さり、今は誰も納める故人はいませんが、予約を致したいとの有難いお申し出を頂戴致しました。
家には少し体調を崩している家族がいますが、もし万が一の時にはご葬儀をご住職にお願いしたいとのお申し出をいただいておりました。
もちろん、ご縁を有難く頂きますとのお返事をさせて頂きました。
そういう事態の時には、遠慮なくご連絡下さいとお約束したしました。
その後に、娘さんからご丁寧な確認のお手紙を頂戴致し、ファイルに大事にしまい込み今日に至っております。
それが、今回残念ながらお父様が逝去されたとのお電話をいただきました。
遠い場所ではありますがご葬儀を依頼致したいとのご連絡をいただき、謹んで葬儀を致すことをお受けいたしました。
そして、その大事なお通夜の日に声が出ない風邪を引いてしまった自分に悔やんでも致し方ないのですが、声が出ないことも含め冷や汗が風邪とは別に噴き出してきました。
もちろん、事情をお伝えいたし、代理のお寺をお願いすることはもちろん出来ます。
しかし、経緯を思い起こせば、このご葬儀は何が何でも「私が」という気持ちが強まります。
まずは先方に電話をして、声をお聞きいただきました。
何卒、この声ですが私が致すことを御許容下さいとお願いを致しました。
ご住職の無理のない声で勤めて頂きましたら結構ですとの、有難いお言葉を頂戴致しました。
お通夜の読経の声はひどいものとなりましたが、故人へ思いが届けとばかりに、気合を込めてお勤めさせて頂きました。
葬儀式、初七日と何とか無事にお父様をお送り致すことが出来ました。
心からの温かいお言葉を下さったご遺族の皆様には心から感謝致しますと共に、このご縁を大切に致して参ります。
葬儀式場に到着致し、葬儀を司る職員の皆さんと打ち合わせを致しました。
皆さんは私の声をお聞きになられて驚かれましたが、直ぐに優しく「何か出来ますことがありましたら遠慮なくお申し出ください」と此方も優しいお言葉を頂きました。
トイレから戻りますと、のど飴が机にそっと置いてありました。
式場へ入り座りますと、正面に喉を潤す為の冷たいコップのお水もご用意いただいておりました。
声が出ず辛い葬儀式ではありましたが、皆さんの優しいお気持ちと思いやりに触れた有難い経験をさせていただきました。
私の体調不良へのお気遣いのお声をお掛け下さいました多くの皆さんのお気持ちを心から感謝致し忘れぬように致します。
本当に有難う御座いました。合掌