今更とおっしゃる人も多いと思いますが、霊源院と龍眠庵は臨済宗東福寺派のお寺です。
葬儀式のご依頼をいただき会館に参りますと、まずは葬儀屋さんと打ち合わせを致します。
その時、真っ先に確認されるのが「宗旨宗派」です。
これは、司会者が式の始まりに寺の紹介をされるためです。
あらかじめ、喪主様からも寺の宗派を聞かれていると思いますが、念のために住職にも確認をされています。
時々、喪主様の思い違いで誤りがあることがあるようです。
葬儀屋さんが確認をしているために、無事に葬儀式は進行してまいりますが、式の後に喪主様に誤りをお伝えする機会は思いのほかありません。
このような経緯がございまして、冒頭に宗旨・宗派をお伝えさせて頂きました。
臨済宗ですが、日本では十四派の本山があります。
日本に禅宗がもたらされ、宗派としての活動が始まりましたのは鎌倉時代からです。
この時代には、頻繁に日本の僧侶が中国へ渡ったり、中国からも高僧といわれる方々がお越しになられました。
東福寺の御開山である聖一国師も中国に渡って学んでおられます。
京都には、東福寺以外にも南禅寺・大徳寺・天竜寺・建仁寺・妙心寺など、その宗派の本山が多数あります。
更には、関東にも鎌倉の建長寺、円覚寺と名前のよく知られた本山があります。
各本山には、僧侶となる為の修行道場がございますが、臨済宗の僧侶を志す者は、何処の道場へも入門できるように交流がもたれています。
ちなみに、私の長男は天竜寺、次男は東福寺の修行道場でお世話になりました。
各道場は指導に当たる師家(先生)の個性や道場の雰囲気等が違いますので、自分に合いそうな道場を精査してから入門しているようです。
臨済宗の教義となりますと膨大なお話になってしまいますが、まずは「不立文字(ふりゅうもんじ)」という言葉に代表されるのではないかと思います。
不立文字とは「悟りの道は文字や言葉で伝えることはできない」いう意味です。
その為、道場では座禅や作務(掃除や畑仕事など)そして托鉢など、実地と体験を重んじる修行を繰り返します。
礼拝致す仏様も、十三仏(お釈迦様、観音様、阿弥陀様、大日様など)の中の、どの仏様を礼拝しても構わぬというくらい寛容です。
お経さえも無心になる修行の一つと捉えられています。
道場では、お経を読む時は、ひたすら一心にお勤め致すことを先ずは伝えられます。
そして、食事を含めた一日の生活の中にお釈迦様の教えがあることを学びますが、その作法についても厳しく指導されます。
霊源院や龍眠庵では、宗派を問うことなくお墓の受付をしています。
そのため、ご実家が臨済宗以外の他宗の方が多いのが実情です。
しかし、ご実家の宗派とは異なる皆様からも法事や葬儀のご依頼や、ご自宅のお仏壇へのお参りをご希望いただいております。
時々、お仏壇へのお参りを希望される方より、ご相談をいただく事がございます。
「お仏壇を臨済宗に合ったものに変える必要がありますか?」
「先ずは共に大事な故人への一心なお参り、そして今向かい会う仏様への合掌礼拝からお始め下さい」と申し上げています。
そこから皆様にはお始め頂き、お参りをさせていただく際には、私も共に無心のお手合わせをさせて頂いております。
先に申し上げました臨済宗の教義を感じ取っていただけましたら、そのような心配は無用なことをご理解いただけるのではないかと思います。
新たなご縁を頂戴した皆様の中で、法事やご自宅へのお参りを希望される方がおられましたら、安心してご相談ください。合掌