湿度が高く、異常に暑い夏もやっとやり過ごすことができそうです。
潤繰りに廻りくる季節は普通に受け入れて行けば良いのですが、今年の夏はそう思いつつも尋常ならざる暑さで閉口致しました。
しかし、10月に入り、霊源院の庭の紅葉を見ますとなぜか色づきが早いように思えます。
特別温度が急に下がったわけでもないのですが。是も又、異常気象の影響でしょうか。只、かつて聞いたことのある話では、京都全体、そして東福寺の紅葉の見頃は10月下旬だったということを聴いたことがあります。近年の紅葉の見頃は11月中旬ですので一ヶ月くらいずれていることになります。そう考えますと紅葉が早くなることは無いとはいえないかもしれません。これからのことですので、もちろん断言はできませんが。只、早くても、遅くても、良い色づきになり、多くの皆さんにお楽しみ頂きたいものです。コロナもやや落ち着いてきていますことも含めまして。
インターネットにも紹介はされていますが、東福寺は過っては桜の名所だったことをご存知でしょうか。
それは、室町時代まで遡りますが、東福寺の桜の木を全て、時の将軍、第4代足利義持が伐採致したということです。
何故と思いますがそれには理由があります。
東福寺の境内の西南、本堂の西側に大禅堂という大きな座禅堂があります。この時代は修行僧が多く、そこで修行をなされていました。それほど多くの修行僧が寝起きなされた場所なので100人禅堂ともいわれる程の大きさです。普段は勿論に一生懸命修行をなされていましたが、当時は桜が多く植えられており、桜の季節には賑わいを見せたようです。
そんな時、東福寺の有名な画僧「明兆」(みんちょう)禅師が此方も有名で今日まで伝わっています、大涅槃図(東福寺本堂で毎年3月14日から3月15日迄公開されます)を書きあげられ、その仕上がりに感動なされた足利義持公が明兆に褒美を差し上げると申されたところ、明兆は修行僧の妨げになる桜の季節の賑やかさを無くすため桜を全て切って欲しいと要望なされ、それに将軍が応えて桜を全て処分されたということです。
その歴史に基づいて、東福寺には桜が未だにほとんど無いということです。
もっとも、現在は紅葉で同じく賑やかなことを見ますと、少し歴史の皮肉は感じますが。
私の次男がお世話になりました修行道場は今は、東福寺の一番奥にあり、喧騒とは無縁に今も若い修行僧が日々励んでいます。
ともあれ、先に述べましたように遅い、早いはありましてもコロナが少し収まってきているこれからの時節、感染に留意頂き皆さんにはあの鮮やかな「紅」をお楽しみ頂きたいものです。
来月18日から30日迄は霊源院では御朱印の授与を致します。普段は一般の皆さんとご縁を結ぶ機会は少ないのですが、御朱印の授与を通して、御本尊千手観音様へご縁をお繋ぎ頂きたいと思っています。
お墓でご縁を頂戴致している皆様には法事、法要でご迷惑をお掛け致すこともあろうかとは思いますが、何卒、御協力の程、お願い申し上げます。
しかし乍ら、紅葉の時期が参りましても、体調不良では秋を楽しむことは出来ません、此処暫くは温度変化が極端との予測もあります。どなた様も十分に体調管理に留意なされ、これからの季節をお迎え下さい。合掌