霊源院指定石材店のオフィス石太郎です。
少子化や核家族化の影響から、ご先祖様のお墓の墓じまいをされる方が増えています。
昨日は、墓じまいを検討されているお客様より、龍眠庵墓地で永代供養墓のご予約をいただきました。
ご先祖様や家族の墓所に建つ墓石などの工作物を撤去し、整地した墓地を墓地管理者に返還することを墓じまいといいます。
撤去作業をする前には、お墓に埋葬されているご遺骨の引き上げが必要になります。
永代供養墓のご見学にお越しになられた方より、色々なご相談をいただきます。
特に墓じまいを予定されている方の場合は、初めての経験ということもあって、どうしても説明させていただく時間が長くなってしまいます。
まずは、お客様が墓じまいを考え始めてキッカケについて紹介させていただきます。
逝去した家族の納骨する場所を考えた時に、郷里に建つお墓ではあまりに利便性が悪いなどの問題を抱えておられるようです。
自分達が高齢になってお墓参りに行けなくなった時に、このお墓を子供に承継することに抵抗感を持たれているようです。
最近は終活をされている方が多く、お墓のことを考える方が増えつつあります。
もしも自分が亡くなった時に、郷里のお墓では子供への負担を心配するご両親が、墓じまいを検討されています。
子供への負担については、距離的なこと・お墓の建つ寺院とのつきあい・古くて補修が必要な墓石など、お客様によって様々です。
職場の定年退職など、年齢的な節目を迎えられたことがキッカケとなり、ご先祖様のお墓の今後を考えておられます。
ご自身が元気な間は墓所の掃除ができますが、特に遠方にお墓をお持ちの方は、体力や気力の低下の伴い先々を心配されているようです。
特に承継者のおられない方は、将来にご自身が入るお墓の確保と合わせた、墓じまいと遺骨の改葬を検討されています。
墓じまいの作業を行う時期についての決まりはありません。
ただし、各ご家庭によっては、より良いタイミングがあるかと思います。
お墓に埋葬されている方の法事(年忌法要)を控えている方は、法事を考慮した計画をされると良いでしょう。
例えば、「十三回忌までは、お墓をそっとしておいた方が良いと思う」とお考えの方は、十三回忌以降に計画をされると良いと思います。
また、自宅近くに確保した新しいお墓に改葬される方などは「新築のお墓に入れてあげてから法事を迎えたい」とお考えの方もおられます。
ご自身が描いた計画に沿って墓じまいを行うためには、手順を踏んで進めていく必要があります。
墓じまいの手順について簡単にまとめてみましたので、参考にしてください。
順番については状況によって異なる場合もあり、あくまで一例としてご参照ください。
親戚縁者や墓地管理者などお墓に関係する方々に、墓じまいの意向を伝えて同意を求める。
ご遺骨の改葬先を確保する。(他の墓所に改葬をする場合)
お墓が建つ墓地での作業が可能な石材店に、墓じまい作業に必要な費用の見積もりを依頼する。
石材店との間で、墓じまい作業の契約をする。
作業の日程を墓地管理者に報告する。(墓地によっては申請手続きが必要)
管轄の役場で改葬許可申請を行う。(他の墓所に改葬をする場合)
墓石の正念抜きをしていただく寺院に作業の日程を報告する。(仏教徒の方)
墓前でご住職に墓石の正念抜きをしていただく。
ご遺骨を引き上げる。
墓石などの工作物の撤去作業と墓地の整地をしていただく。
墓地管理者に作業の完了を報告する。
改葬先の墓所にご遺骨を納骨する。(他の墓所に改葬をする場合)
石材店が手伝っていただけることもあり、手順の全てをご自身が行うとは限りません。
墓地を返還する場合は、無償返還といって初回に支払った費用などは一切戻らないのが普通です。
また、工作物を全て撤去して、お墓を建てる前の状態に戻してから返還する条件の墓地がほとんどです。
墓地を返還する際には、申請書や念書の提出が必要な墓地など、墓地によって申請の方法は様々です。
ご遺骨を所在地の異なる他の墓所に改葬(再埋葬)する際には、新たな墓地管理者に改葬許可証を提出する必要があります。
改葬許可証を得るためには、現在お墓の建つ墓地を管轄する役場で改葬許可申請を行います。
改葬許可証は、新たな墓所に埋葬する際に必要な書類ですが、本来はお骨を引き上げる際に必要な書類ではありません。
しかし、現在お墓のある墓地管理者は、墓地内に埋葬されている遺骨を管理する義務がありますので、遺骨の引き上げ前に改葬許可申請を済ませておくことをお勧めいたします。
現在お墓のある所在地と同じの合祀墓などに改葬する場合は改葬許可申請は不要です。
ご遺骨が土に還っていて既に無くなっている場合については、新たな墓所に土を埋葬する際の改葬許可証は不要です。
火葬が普及した以降は、一つのお墓を家族が代々で使用するものへと代わってまいりました。
墓石が1基で済むことで、経済的には効率的ともいえますが、子孫が維持することが必須条件ともいえます。
核家族化が当たり前の時代では、従来型のお墓では先々での墓じまいのリスクはなくならず、また繰り返すことになるかも知れません。
ご先祖様のお墓の墓じまいを機に、これからご自身も将来に入るお墓を検討される方には、永代供養墓をお勧めいたします。