故人の自宅での葬送の儀。

2023.03.25

故人の自宅での葬送の儀。

過日、故人の自宅にての葬儀式のご縁を頂き、お勤めさせて頂きました。

私が僧侶になりたてで、檀家さんへお参りに伺いましても、緊張致し「どきどき」しながらお勤めさせて頂いた若い時から、月参り「毎月一回、檀家さんのお宅へ伺い、仏壇前の回向を致すこと」で永らくご縁を頂き、お会い致すたび何かと優しいお気遣いを頂戴致していた奥さんが長寿を全うなされ、お亡くなりになられました。

本当に長きに渡りお世話になったお方ですので、故人への御礼の気持を込めて葬送の式のご縁を頂けたことに感謝を申し上げました。

さて、ご依頼下さった息子さんに葬儀を致す場所をお尋ねいたしますと、自宅で行いますとのお答え。

近年は葬儀式をなさる方の多く、殆どの皆さんと言っても良いくらいに、葬儀は故人の近くの葬儀会館で行われます。

葬儀会館で通夜式をなさり、葬儀告別式と続き、初七日法要も葬儀会館でとなります。

又、お参りの方々への精進落としの食事も会館でなされ、その場で皆さん解散なされ、故人のお家へお越しになる機会の無いまま儀式が終わります。

勿論、心を込めて故人をお送りなさるということには変わらぬとは思います。

しかし、且つては何処のお家も葬儀と言えば、自宅でという時代が長く続いていました。

それが、先に述べましたように、葬儀会館での葬儀式が極めて一般的となり、私たち僧侶も故人をご自宅にてお送り致すことは皆無となっています。

その様な中、今回は故人が家族と永らくお暮しになられた自宅で葬儀ということになりました。

葬儀会館のような整った法要飾りこそありませんんが、気持ちの籠った故人へのお供え飾りがとても暖かく感じました。

しかも、故人の尊顔をまじかに見ながら、お勤め致すことが出来ました。

故人から頂いた様々な気遣いを思い起こしながら、お経を読まさせて頂きました。

更には、弔問へお越しの親族の皆さんも故人と対面致しながらお手合わせなされましたので、故人との距離が随分と近づいたようです。

何とも暖かいお葬式を経験させて頂きました。

各々のお住まいの住宅事情、生活環境等、皆違いますので、何処で葬儀を致すかより、先ずはどう、心を込めて故人をお送り致すかが第一義であることは間違いありません。

しかし、最近は葬儀の形態も随分変化を致し、葬儀屋さんの主導の様々な形態の葬儀式が提案されています。

そういう意味では、葬儀の場の飾りを華美に致さず、費用も抑え、故人を心を込めてお送り致す、「自宅での葬儀式」も良いのではないでしょうか。

幸いに、葬儀屋さんでなければ対応出来ないことも多いのですが、このような場合も葬儀屋さんは十分に対応下さるようです。

そして、それに関連致し以前からお伝え致している、霊源院の「お骨葬」も又、参考になるのではないでしょうか。

お亡くなりの大事な故人をお送り致す葬儀式は省略致すことは出来ません。

しかし、残った故人の家族にお負担を少なく、心の籠った葬儀は十分に可能なこととおもいます。

そのうえで大事な故人をお送り致す、葬儀式、大切に致して行きたいものです。合掌

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