長いコロナ禍のトンネルも光がさしてきて、今朝の新聞の一面の記事「WHO」が緊急事態の解除との文言を見て、先ずは一安心と少し気持ちが軽やかになりました。
それでも、この連休中は外国の方以外、日本人はやはりマスクを外さずにお出かけの方が多かったようです。そういう意味ではまだ皆さん安心とは言えない心持なのだと思います。今暫くの時間で以前の暮らしが戻ってくることを祈念致したく思います。
さて、朝起きて本堂にてお勤めを致し、朝7時の開門の為に、山門へ向かい開扉を致し、隣の小門へ据付のポストから朝刊を取り出し、山門前の階段を登りながら新聞記事へ目を通します、部屋へ上がりコーヒーを用意致し、頂戴致しながら新聞へ目を通して行きます、そして、一通り目を通しましたら、今度はパソコンを開き、インターネットの記事を読み始めます、ネットの記事は様々なニュースを見出しで比較的「刺激的」な言葉で示しているように思います。新聞のトーンを抑えた記事とは少し違うように感じています。
そのネットの記事を毎日読み進めている中で、「世の中が随分と荒れ模様だな」と感じます。ついこの間の安倍元首相の暗殺以降、家の中での家族同士の殺傷の記事、お付き合いなされている男女の血なまぐさい事件、数え上げられない位の嫌な記事がネットの記事の中に溢れています。
長らく続いているコロナによる閉塞感、経済の停滞、ウクライナの戦争などがきっかけになっているのかもしれません。
勿論、コロナ以前にも同様なニュースはありました、只、最近はそれが切れ目なく続き、読み、聞きいたしている私たちも少し麻痺をしてきているような気さえも致します。
この閉塞感がこのまま続きますと、今の荒れた世相がこのまま続きそうで辛い気持ちになります。
禅の言葉の中に「家和万事成」(いえわしてばんじなる)という言葉があります。家庭の中が平和で有れば、全てのことが上手くゆくという意味です。
当たり前のことのようですが、これが中々に今の時代は出来ていないように感じます。
家族が個々別々の生活を当たり前と致し、親は子に迷惑を掛けまいとの想いを持ち、子も又、自分の家族、自分たちの生活を守るのに一生懸命となる、もちろん間違ってはいません。
しかし、今日この私があるのはご先祖方の積み上げたものがあり、ご先祖の加護があるからであり、子供も又、今日、自分があるのは、弛まぬ愛情を掛けてくれた両親があってのことです。
そう考えますと、この私の元は家にあり、又、ご先祖の眠られるお墓に続くとは考えられないでしょうか。
各家の事情は、もちろん一律ではなく、様々な事情も当然にあります。
それでも、時代の変化とコロナを通して失われたものをもう一度、家族間の思いやり、愛情を通して組み直すことは出来ないでしょうか。そしてその延長線上にご先祖が眠られるお墓が又、あります。
先に示させて頂いた、禅の言葉「家和万事成」を味わい頂き、自分の今の有り様を内省致すと共に「家」の中の和を考えて見たいものです。
そんな私たちの日々の積み上げが、閉塞感を打ち破り、この荒々しい世相を変化させてゆくかもしれません。
漠然としたお話しになってしまいましたが、自己の足元をしっかり見つめ直すことだけは忘れぬように頂けましたら、嬉しいです。
それと共に、この爽やかな季節も直ぐに終わり、厳しい暑さの夏がすぐそこまで来ています、どなた様も油断なさらずにお過ごし頂きますこと、祈念申し上げます。合掌