さて、戦前までは家族の有り様が、家父長(所謂、お父さん)を中心とした家制度として確立されており、そして江戸時代から続く檀家制度もそのままに引き継がれ、故人を祀るお墓も又、代々墓が当たり前に、その家の後継者(長男)が守り続けてその直系の家族が同じお墓へ埋葬され、供養を継続致して行くという形態が当然の姿として残されていました。
更には、戦後の混乱を超え、国が安定、成長を致す中では家を作るのと同様に、分家なされたお子さんたちが、ご自身の父親と同じようにお墓を新たに設けることが暫くは続いていました。
寺院もその中で、「代々墓」を分譲致す中で、多くの皆さんとご縁を繋ぎ、お寺の護持にもご協力をお願い致すという時代が長く続いていました。
そして、次に来ました時代は「核家族化」と「少子高齢化」の現実です。
やって来る現実は止めようもなく、社会の中では様々な変革を余儀なくされることとなっています。
霊源院、龍眠庵も戦後の所謂「墓地ブーム」の時にご縁を頂いた皆さんのご支援に支えられて頂き、今日までお寺をお守り続けることが出来ています。
しかし、時は「常住不変」なるものを認めてはくれません、「諸行無常」の言葉通りにお墓の有り様、守り様は随分と変わっきて、今日を迎えています。
幸いに、霊源院、龍眠庵は様々な皆さんのご支援を受け、通常のお墓に限らず、永代供養のお墓のご提案を頂き、そのご縁を沢山に頂いており、お寺の運営も順調に推移致しております。
社会の有り様が大きく変化を致し、大事な故人、ご先祖のお祀り、お供養の仕方はそれに伴い、間違いなく変わって来ています。
しかし、且つてと同じでは無くても、工夫を忘れず、私たちをこの世に「縁付けて」下さった大事な故人、ご先祖を敬い、供養を致す心は絶対に忘れてはいけません。
只、申し上げて参りましたように、お墓の有り様、お供養の有り様が変化致しても、それを受け入れ、「自分たちが無理なく、故人を祀り、お供養を継続致すという心」は決して忘れて頂きたくありません。
そして、皆さんご存知の合祀墓、このお墓は且っては、無縁の行く先の無い故人を埋葬致すお墓との認識が多くあったように思います。
しかし、近年は「個別の永代供養墓」と全く同じ思いで、後継者に恵まれておられない方々が、自分にとって大事な故人、先祖、更には最後にはご自身の「終の住処」として選ばれる方が随分と増えて参りました。
霊源院の合祀墓は今の所、満杯に近い状態ですので、合祀墓を御希望のお方には、用意いたしたばかりの、龍眠庵の合祀墓をお勧めいたし、ご案内致しています。
お陰様で、個別の永代供養墓と共に多くのご縁が頂けています。
過日もご縁を頂きましたお方と共に、本堂にて法要の後、合祀墓へ大事な故人を埋葬させて頂きました。
お帰りの際には、「結構なお墓へ埋葬頂き、ご丁寧な法要に感謝致します、今後とも自分たちを含め宜しくお願い致します」との過分のお言葉を頂き、此方が心から感謝を致しました。
お寺は仏の教えをお伝え致すと共に、ご縁の皆様に寄り添うという姿勢を忘れてはならぬと思っています。
これからも、お墓の「種類」には関係なく、皆様のご先祖守りの工夫と共に、皆様に寄り添わせて頂き、皆さんの心の拠り所の「お寺」足るべくに精進と思います。合掌