東福寺霊源院指定石材店のオフィス石太郎です。
霊源院や龍眠庵では、永代供養墓の受付をしています。
双方のお寺では、「永久墓」と呼ばれる特別な永代供養墓を採用しています。
永久墓とは、墓石の寿命がくるまで寺院(墓地管理者)が維持管理するお墓をいいます。
そもそも、墓石の寿命を判断する明確な基準はありません。
こちらのお寺では「将来に石材の風化等で施設が著しく損傷し施設の保全を継続できないと当院が判断した際には・・・」と、永代供養墓使用規程に明記しています。
墓石に使用される石材ですが、最近では花崗岩が一般に多く使われています。
明治の頃は、棹石(一番上の石)だけ砂岩を使った墓石も多くありました。
砂岩が使われた理由については、花崗岩よりも柔らかく文字を彫刻しやすかったためと思われます。
上の写真は、明治32年に建てられた墓石ですが、砂岩で造られた棹石は、コゲ茶色に変色して表面が捲れるように崩れかけてきています。
上の写真は、東福寺霊源院に建つ歴代住職のお墓です。
右側のお墓は花崗岩でできていますが、他のお坊さんのお墓に比べて独特の形状をしています。
その独特の形から、鎌倉後期から室町初期のお墓ではないかと推測できますが、残念ながら文字が読めません。
墓石の表面が凸凹していますが、当時はノミで何百回も叩いて石の平面を出す「ノミ切り」という加工方法でした。
表面の凸凹は、ノミの跡ですので700年近い年月を経過したと推測される間も残っています。
当時の彫刻技術では、文字を鮮明に深く掘ることが出来なかったと思われますので、残念ながら彫刻部分は読めなくなってしまいました。
写真の左下には、手前側に建つお坊さんの棹石上部が少し写っていますが、こちらは砂岩ですので大きく損傷しています。
墓石の寿命については、使用する岩石によって大きく異なることが解ります。
墓石の石材を、関西では御影石と呼ぶことが多いのですが、御影石という呼び方は関西では花崗岩の通称になります。
余談ですが、兵庫県の御影で採れる石は、本御影石と区別して呼ばれています。
花崗岩の寿命につきましては、正直なところ筆者にも解りません。
前章では、石材の寿命についてふれてみました。
ただし、「石材の寿命=お墓の寿命」とは一概にいえません。
石材がしっかりしていても、地震などで倒れたままでは、お墓とはいえないのではないかと思います。
また、長年の間に接着部分が外れたり、地盤沈下などで傾いてしまうこともあります。
一般的なお墓は
一般的な場合では、新たにお墓を建てようと思った際には、お寺や霊園などで墓地を確保します。
その後に、墓石店と墓石の契約をして、確保した墓地に建てていただきます。
このような場合では、お寺や霊園の土地に、お客様が購入(所有)した墓石を建てさせていただくことで、お墓になります。
墓石は、お客様の持ち物のため、持ち主が修理をするというのが、一般的なお墓です。
永久墓では
霊源院や龍眠庵の永久墓は、各お家の墓石をお寺の施設として、寺院が管理しています。
お客様の個々の墓石は、墓石の所有者である寺院が維持管理をすることで、お参りする人がおられなくなった場合でも墓石の修理などは継続して行われます。
修理などが行われた際の補修費用などは、墓石の所有者である寺院が負担しますので、お客様に請求されません。
墓じまいの心配もありませんので、少子化や核家族化の時代も、ご夫婦や家族のお墓として安心して建てていただけるのではないかと思います。
この数年は、「墓じまい」のご相談でお越しの方が、本当に増えてまいりました。
「子供に負担をかけたくない」「ご先祖様を無縁墓にできない」など、ご自身やご先祖様の永代供養を希望する人が多いように感じます。
過去には、家族の負担を減らすために生前墓を建てる人が多かったように思います。
しかし、少子化の時代を迎えた現在では、これら従来型のお墓を負担と感じる人が多くなってしまったようです。
これから、新しくお墓をお考えの方には、墓じまいの心配のないお墓として、永代供養墓をおすすめいたします。