お葬式-お骨葬の役割について

2022.03.01

京都東福寺霊源院のお葬式

お骨葬の役割について

お檀家さんからの電話

遺骨を前にしてお勤めする葬儀式のことを骨葬といいます。

お骨葬については、ブログでも何度か書かせていただきましたが、最近その必要性を実感することがございました。

過日、私とほぼ同世代のお檀家さんから電話をいただきました。

電話の向こうのお檀家さんは、とても動揺されている様子です。

一人暮らしをされている妹さんが、ご自宅でお亡くなりになっておられたとのことです。

ご遺体は警察での検死を待っておられるとのことで、何時に葬儀が出来るかも解らずどう致したものかとのご相談でした。

親しくお付き合いをいただいていて、妹さんもよく存じ上げておりましたので、とてもショックでした。

コロナも含めて様々要因が重なってのご不幸のようで、本当に辛く残念な出来事です。

先ずはご冥福をお祈り致しました。

葬儀式の予定が立たない

今後のことについて、お話を致すことになりました。

ご遺体がお戻りになられても、諸事情により葬儀会館で葬送の儀を勤めることは難しいとのお話でした。

このような状況を踏まえて、御戒名を用意致した上で、火葬場での「荼毘回向(だびえこう:火葬時の読経)」を提案させていただきました。

ただし、火葬場でのご回向は10分程度の時間も頂けませんので、とても簡素な感じになってしまいます。

提案致したものの、あまりにも簡単な「お送り」に少し抵抗を感じていました。

諸事情を考えますと致し方ないとの結論に至り、とりあえずは検死の状況次第で待ち合わせの日時を決めましょうとのお話になりました。

お骨葬を提案

火葬が無事に終わり落ち着かれた頃に、あらためて葬儀式をおこなうことを提案させていただきました。

過去にも、本堂でご遺骨を前に葬送の義を厳修致してまいりましたが、ご遺族からは安堵の声を頂いておりました。

ご遺体を前に致しお送り致す葬儀式と全く同様に、心を込めて故人をお送り致す事ができる旨を説明させていただきました。

お檀家さんは、お骨葬という葬儀の在り方をご存じなかったのですが、お骨葬でお送りされたいとのご希望を頂きました。

妹さんの娘さんが喪主となりますので、先ずは娘さんとご相談をいただくことになりました。

早速、娘さんからご連絡をいただきまして、ご自身も是非そのようなに願いますとのことでした。

お骨葬は日時を急ぐ必要がございませんので、先ず故人を懇ろに荼毘に付してから、あらためて日時を決めることに致しました。

この度はとても大変だったと思いますが、やっと娘さんもお母さんをお送りすることへの実感を感じることができたように思いました。

葬儀式は故人を懇ろにお送り致す儀式ではありますが、残された方々の心の収まりや安堵感が無くてはいけません。

それを得てこそ大切な人を失った喪失感を乗り越え、家族が前へ進むことが出来るのです。

お葬式の意義とお骨葬の役割

通常の葬儀式を行えない場合もあろうかと思います。

ご家族にとっての葬儀式の意義やお骨葬の役割について、あらためて実感いたしました。

叔母さんのご不幸を聴かれた甥っこさんや姪っこさんからも、本堂にお飾りをする故人への献花のご依頼も頂きました。

故人を囲む、ご家族やご親族の思いを感じた次第です。合掌

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