過日、霊源院の宗派である臨済宗の葬儀式の特徴を少しお話いたしました。
葬儀式は大切な故人をお送り致す儀式ですが、葬儀と共に大事な儀式がお通夜です。
お檀家さんのお宅で辛いご不幸がありました時、お寺に連絡をがございます。
ご連絡の際に、ご家族と時間の摺り合わせをいたしてから、先ずは故人の枕元へお邪魔を致し、枕経(まくらぎょう)「臨終諷経」を唱えます。
最近は、永代供養墓を通じて遠方にお住いの方も増えてまいりました。
そのようなお宅の場合は、お通夜の前に枕経を致す時もございます。
枕経の際には、故人の唇に末期の水(まつごのみず)を差し上げ、遺族の方や近親の皆さんにも同様にその作法を行って頂きます。
そして枕経が終わりましたら、通夜式や葬儀告別式の日時等、細かい打ち合わせをご遺族とさせて頂きます。
お通夜の由来についてご紹介します。
お釈迦様が涅槃(お亡くなりになった時)に入られた時に、お弟子様達が一晩を通してお釈迦様から授かった仏法の教えを語り合い遺徳を偲ばれたことがお通夜の由来です。
その由来に基づいて、今日まで続けられてきたお通夜は、近しい親族が夜を徹してご遺体をお守り供養する場でありました。
最近のお通夜は、葬儀告別式を葬儀会館で行われる方がほとんどです。
会館でのお通夜は、仕事等の都合で葬儀告別式への出席が叶わぬ方々が故人とお別れをする場ともいえますので、お通夜の目的も微妙に変わってまいりました。
ところが最近は、葬儀屋さんによる一日葬というお通夜のないプランの提案もあるようです。
病院から会館に移動後は、葬儀式の時間まで故人に合うことが出来いという話を聞いています。
お通夜式では、住職がお経を唱えて弔いのお勤めをしている間、ご参列の方々は故人への思いを巡らし、お手合わせ頂いています。
時代と共に環境は変わりましたが、お通夜の意義はまだまだ失われてはいないようです。
葬儀告別式の際は、司会者の指示による儀式の進行に専念することになりますので、遺族は故人とのお別れや思いに浸ることはなかなか出来ないように思います。
お通夜では、住職による読経の後に親族で会食をされる場合が大半だと思います。
時間を気にすることなく、思い出を語り合うことは故人を偲ぶとても大切な時間です。
また、遺族を囲む親族の姿は、亡くなられた故人にとっても心強い光景といえます。
僧侶が勤める儀式だけをお通夜という訳ではなく、遺族にとっては故人とお別れをする大切な時間でもあります。
そのようなことを考えました時、お通夜の意義が見えてくるように思います。
故人が残されたご意志や、ご遺族の事情もあろうかとは思いますが、出来うる限りお通夜はお勤め頂きたく願います。
さて、コロナの状況も決して好転致しておりません。
どなた様も寒さと共に十分留意を致しお過ごし下さいますよう祈念致します。合掌
東福寺塔頭 霊源院
住職 竹内 希元
京都市東山区本町15丁目791
電話 075-561-9684